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本家西尾八つ橋 八つ橋だより

2012年6月 1日

6月の京都、茅の輪くぐり。

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夏越祓「茅の輪くぐり」

日本三大祭のひとつ「祇園祭」や下鴨神社の「みたらし祭」など、 夏の神事には、罪・けがれを祓って疫病を鎮めるという、夏越祓(なごしのはらえ)の意味があります。
6月の終わりに多くの寺社で行われる「茅の輪(ちのわ)くぐり」もその代表的なひとつの形で、夏の疫病対策であるとともに、1年の前半の罪・穢れを祓い、残りの半年の無病息災を祈願する神事なのです。

実はこの神事、祇園祭と深い関係があるのをご存知でしょうか。



茅の輪くぐりと厄よけ茅巻き

古来より厄難消除(魔除け)の効果があるといわれる茅(ちがや)というイネ科の草があります。この茅を組んで作った大きな輪をくぐることで、全身の穢れを祓い、夏の厄災から身を守るというが茅の輪くぐりです。
そして、この茅(ちがや)、7月の祇園祭でも、形を変えて厄よけの役割を果たします。
それが、「厄よけの茅巻き(ちまき)」なのです。

現在の「厄よけ茅巻き」は、全体が笹の葉などで出来ていますが、古くはは茅(ちがや)の葉を使って餅などを包み供物ともされた、ひとつの料理法でした。

「茅の輪」と「祇園祭の厄よけちまき」。共通点は素材の茅だけではありません。
なぜ茅(ちがや)で「疫病しずめ」なのか、そもそものいわれが同じ伝説に由来するのです。



蘇民将来の子孫なり

=牛頭天王と蘇民将来の伝説=

神代の昔、一人の旅人が一夜の宿を借りようと、蘇民将来(そみんしょうらい)・巨旦将来の兄弟に頼んだところ、裕福な弟の巨旦将来はそれを拒み、兄の蘇民将来は貧しいながらも精一杯のもてなしをしました。数年後、帰り道で再び蘇民将来の家を訪れた旅人は、自分が疫病を司る神「牛頭天王(ごずてんのう)」であることを明かし、「茅(ちがや)で輪を作り、身に付けておきなさい。末代までも災難を逃れることができるであろう。」と告げました。世に疫病が蔓延したときにも病が避けて通るかのごとく、蘇民将来の一族だけは災難をまぬがれることが出来たということです。


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つまり、伝説の茅の輪を身に付ける替わりに、大きく作って全身でくぐるのが「茅の輪くぐり」、ちまきの形にして家の門口に飾るのが「厄よけ茅巻き」なのですね。厄よけ茅巻きの多くには、念を押すように「蘇民将来子孫者也(蘇民将来の子孫なり)」のお札が添えられています。親切な蘇民将来への牛頭天王の感謝の心にあやかった疫病鎮めの祈り「茅の輪くぐり」、ぜひお出かけ下さいませ。



にぎわいの予感、6月の京都


7月の1ヶ月間、八坂神社を中心に執り行われる祇園祭。でも京の各所ではすでにその準備が始まっています。夕方の鉾街を歩いていると、どこからともなく祇園ばやしの練習が聞こえてくることも。

夏の暑さも京の町を揺るがすような大祭「祇園祭」の興奮も、もうすぐそこ。
にぎわいの予感に満ちて心あわ立つような、6月の京都です。



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【茅の輪くぐりはいつ、どこで?】

八坂神社をはじめ、多くの社寺でおこなわれます。
期間は6月中いっぱい、6月25日から、6月の末日のみなど様々ですので、ご確認の上お出かけ下さい。


【茅の輪くぐりの作法】

輪の中を左まわり、右まわり、左まわりと八の字に三回通って穢れを祓います。
①茅の輪の前で一礼をします。
②最初は、左にまわります。
③茅の輪の前で一礼、次は右にまわります。
④茅の輪の前で一礼、次は左にまわります。
⑤最後に拝殿で一礼して終わりです。



【牛頭天王(ごずてんのう)】
八坂神社のご祭神。疫病神とも疫病を鎮める神とも言われる。名の由来には、新羅の牛頭山という牛頭の形をした山にいたという説、牛の頭と赤い角を持つからという説がある。武塔神、スサノオノミコトと同一視されることが多い。